コンタクトレンズで目が痛い！原因・対処法・予防法、痛くなりにくいレンズの選び方も紹介

コンタクトレンズを目に入れるとき、あるいは装用中や外したあとに、目の痛みを感じたことはないでしょうか。

コンタクトレンズで目が痛くなる原因はさまざまですが、放置すると重篤な眼障害に至るケースもあるため、注意が必要です。一方、使用するコンタクトレンズを変えるだけで、目の痛みが生じにくくなることもあります。

そこでこの記事では、コンタクトレンズで目が痛くなる原因・対処法・予防法を解説するとともに、目に優しく痛くなりにくいコンタクトレンズの選び方を紹介します。目の痛みに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

■コンタクトレンズで目が痛くなるのはなぜ？

コンタクトレンズのカーブは目の形状に合わせて設計されており、レンズ自体は表面張力で涙の上に浮いた状態でとどまっています。そのため、通常コンタクトレンズが目に直接触れることはなく、痛みを感じることもありません。
しかし、コンタクトレンズに不具合がある場合や目に何らかのトラブルがある場合は、レンズの装用に際して痛みを感じることがあります。

◇コンタクトレンズに原因がある場合

まず、コンタクトレンズに不具合がある場合の具体例を見ていきましょう。

・コンタクトレンズが目に合っていない
コンタクトレンズは、BC（ベースカーブ：レンズの曲がり具合を表す数値）が合っていないと目にうまくフィットせず、痛みが生じることがあります。

例えば、BCが小さすぎるコンタクトレンズを装用すると、眼球が圧迫されて痛みを感じることがあります。逆にBCが大きすぎるのも良くありません。カーブがゆるいとコンタクトレンズがズレやすくなるため、痛みや違和感の原因になります。

・コンタクトレンズのすすぎが不十分
コンタクトレンズのすすぎが十分でなく、保存液や洗浄保存液などがレンズの表面に残っていると、目に痛みを感じることがあります。過酸化水素水系洗浄液を使用している場合は、中和が不十分だと目に痛みを感じることがあるため、要注意です。

・コンタクトレンズが汚れている
コンタクトレンズに付いたホコリやメイク汚れが、目の痛みの原因になることもあります。コンタクトレンズ装用中に突然目の痛みが生じた場合には、黒目とレンズの間に砂などが入り込んでいるかもしれません。また、コンタクトレンズに付着したタンパク汚れなどが原因で、目が痛むケースもあります。

・コンタクトレンズが反転している
ソフトコンタクトレンズは大変やわらかな素材で作られているため、レンズケースやブリスターパックから取り出す際に反転してしまうこともあるでしょう。しかし、反転に気付かず、裏表を逆にして装着すると目に痛みを感じることがあります。これは、コンタクトレンズの反転にともない、カーブが目に合わなくなってしまうためです。

反転したコンタクトレンズを装用すると、BCの合っていないコンタクトレンズを装用しているときと同じ状態になります。まばたきのたびにレンズが動き、角膜に傷を付けてしまうこともあるため大変危険です。

・コンタクトレンズが変形・破損している
コンタクトレンズは、温度の高い場所や極端に乾燥している場所で保管すると、形が変わることがあります。また、涙の浸透圧に合わせて作られているため、水道水などに触れると変形する場合があります。同様に、洗浄が不十分で汚れが溜まっている場合も、変形の可能性が否定できません。

さらに、洗い方が間違っていたり、長い爪や荒れた手指で触ったりすると、レンズを破損することがあります。頻繁に目をこする・装用中に目にボールが当たるなど、レンズに過大な圧力がかかった場合も破損のリスクが高まります。

変形・破損に気付かないままレンズを装用すると、目のトラブルをまねき痛みが生じることもあるため、注意しなければなりません。

◇目に原因がある場合

目がコンタクトレンズに慣れていない場合や目に何らかのトラブルがある場合も、痛みを感じることがあります。

・目がコンタクトレンズに慣れていない
目にとってコンタクトレンズは異物なので、装用にともない違和感や異物感を覚えることは珍しくありません。

特に、初めてコンタクトレンズを使用する場合や久しぶりにコンタクトレンズを装用する場合は、目が慣れるまで痛みを感じることがあります。ハードコンタクトレンズはソフトコンタクトレンズに比べて異物感が強いため、慣れるまでに2週間程度かかることもあります。

・目が乾燥している
目が乾燥していると、コンタクトレンズが浮いている涙の層が薄く不安定になるため、角膜とレンズが接触して痛みを感じやすくなります。また、目が乾燥している状態でコンタクトレンズを装用すると、レンズとまぶたの裏側がこすれて目の痛みを感じることがあります。

空気の乾燥やパソコン・スマートフォンなどの使用にともなうまばたきの減少が目の乾燥につながることもあるため、目を使うときの環境や習慣にも気を付けるべきでしょう。

・目に傷が付いている
目に傷が付いていると、コンタクトレンズ装用時だけではなくレンズを外したあとも痛みが続きます。

目に傷が付く原因は、異物や外傷、目に合わないコンタクトレンズの装用、誤った方法でのコンタクトレンズ使用、ドライアイなどさまざまです。

・細菌やウイルスなどに感染している
細菌やウイルスなどによる感染症で、目に痛みが生じることもあります。

痛みの程度は、感染症の種類や目の状態により異なりますが、充血や目やになど痛み以外の症状をともなう場合は特に注意が必要です。

・目を酷使している
眼精疲労や目の酸素不足も、目が痛くなる原因の一つです。

コンタクトレンズの度数が合っていなかったり、パソコンやスマートフォンを長時間使用したりするなど、目を酷使すると眼精疲労で目の奥に痛みを感じることがあります。また、コンタクトレンズを長時間装用して目が酸素不足の状態になると、角膜に傷が付きやすくなるため、目に痛みが生じるリスクが高まります。

■コンタクトレンズで目が痛いときの対処法

それでは、目に痛みがあるときはどうすればよいのでしょうか。眼科へ行く前にやるべきことと受診時のポイント、すぐに眼科受診できない場合の対処法を解説します。

◇コンタクトレンズを外す

目に痛みを感じたら、コンタクトレンズをすぐに外してください。

「痛み」は、目やレンズに何かしらのトラブルが起きているサインです。無理に装用を続けると、症状が悪化するおそれがあります。できるだけ早くレンズを外して、目を休ませましょう。

◇眼科を受診する

コンタクトレンズを外したら、速やかに眼科を受診してください。
症状が落ち着いても放置は禁物です。たとえ自覚症状がなくても目に傷が付いていることはあるため、早めに眼科を受診して医師の診察を受けましょう。

なお、眼科へ行くときは、装用していたコンタクトレンズも忘れずに持参してください。レンズの傷や汚れは肉眼で確認しにくいこともあるため、眼科でしっかりチェックしてもらう必要があります。

◇すぐに眼科を受診できないときは……

すぐに眼科に行けない場合は、とりあえずメガネを使用してください。
やむを得ずコンタクトレンズを使う場合は、新しいレンズに交換しましょう。

2ウイークやマンスリーなどの定期交換タイプ、コンベンショナルレンズを再使用する場合は、汚れや欠け・破れなどがないことを確認して、しっかり洗浄してから装用してください。

ただし、いずれの場合も早めの眼科受診は必須です。

■目の痛みを予防してコンタクトレンズを快適に使う方法

目の痛みは、適切なレンズケアや装用前のチェックなどで予防できます。目のトラブルを防いでコンタクトレンズを快適に使い続けるためにも、以下の点を心がけましょう。

◇ゆっくり目を慣らしていく

コンタクトレンズを初めて使う場合・久しぶりに使う場合は、いきなり長時間装用するのではなく、毎日少しずつ使う時間を長くして目を慣らしていきましょう。

ソフトコンタクトレンズの場合は、1日8時間程度の装用から始めてください。次の日からは毎日1～2時間ずつ装用時間を延ばし、1週間程度かけて目を慣らしていきます。目の痛みや違和感などがない場合でも、少しずつ装用時間を延ばして目に負担をかけないようにしましょう。

ハードコンタクトレンズはソフトコンタクトレンズに比べて異物感が強いため、使い始めの3日間は1日3時間を目安に装用してください。翌日からは装用時間を毎日1時間ずつ延ばし、2～3週間程度かけてゆっくり目を慣らしていけば、少しずつ違和感や痛みが気にならなくなるでしょう。

◇適切なレンズケアを心がける

定期交換タイプなど繰り返し装用可能なコンタクトレンズは、毎回ていねいに洗浄しましょう。汚れがひどいときは、タンパク除去剤を適宜使用してレンズを清潔に保ってください。また、レンズケースも定期的に交換しましょう。交換の目安時期は、ハードコンタクトレンズで半年～1年、ソフトコンタクトレンズで1.5～3ヵ月です。

そして、コンタクトレンズを装用する前には、MPS（マルチパーパスソリューション）や専用のすすぎ液などですすいでください。ハードコンタクトレンズは、水道水ですすいでも構いません。すすぎが不十分で目に痛みが生じている場合は、いったんレンズを外してすすぎ直せば違和感なく装用できます。すすぎ直しても目に痛みが生じるなら、洗浄を最初からやり直してください。それでも痛みが治まらないときには、早めに眼科を受診して目の状態を調べてもらいましょう。

なお、コンタクトレンズの使用方法やレンズケアの方法が誤っていると、繰り返し感染症にかかることがあります。不安がある場合は眼科で指導を受け、コンタクトレンズやレンズケースを清潔に保つ方法をしっかりと身に付けましょう。

◇装用前にコンタクトレンズの状態をチェックする

コンタクトレンズをはめる前に、レンズの裏表や変形・破損の有無をチェックすることを習慣にしましょう。洗い方や保管方法などを見直し、変形や破損につながるケアをしていないか確認することも大切です。

万が一、コンタクトレンズの状態を確認せずに装用し、目の痛みが生じた場合は、いったん外して反転や変形・破損がないかチェックしてください。
ただし、ワンデータイプのコンタクトレンズは一度外したら再装用できません。ワンデータイプ以外のコンタクトレンズは、専用のケア用品で洗浄したあと、レンズの状態をしっかり確認してから再装用しましょう。

◇目の乾燥に注意する

目の乾燥や涙不足が気になる場合は、人工涙液を点眼したり装着液を使ったりするのがおすすめです。瞳全体へ涙を行きわたらせるために、意識してまばたきをするのもよいでしょう。

エアコンなどの影響で空気が乾燥している場合は、加湿器などを利用して適度な湿度を保つと目の乾燥を防ぎやすくなります。

◇目を酷使しないようにする

目を使う細かい作業や、パソコン・スマートフォンなどの長時間使用で目を酷使している場合は、適度に休憩を取って目を休めましょう。休憩を取りにくい場合は、目が疲れにくいように部屋の明るさやディスプレイの位置を調節するとよいでしょう。

そのほか、コンタクトレンズの装用時間を短くする、酸素透過率の高いコンタクトレンズに替えるなど、コンタクトレンズの使用方法や種類を工夫するのもおすすめです。

◇眼科を定期受診する

眼障害は、自覚症状がないまま進行することもあります。そのため、目の健康を維持するためには、痛みなどの異常がなくても定期的に眼科を受診することが重要です。

コンタクトレンズ障害の重症例は、受診間隔が3ヵ月を超えている人に多いことがわかっています。したがって、3ヵ月に1回は眼科を受診して、目のトラブルの早期発見・予防につなげましょう。

■目が痛くなりにくいコンタクトレンズの選び方

最後に、目が痛くなりにくいコンタクトレンズの選び方を紹介します。

◇度数やBCの合っているコンタクトレンズを選ぶ

目の痛みを防ぐには、度数やBCの合っているコンタクトレンズを使用することが大切です。

コンタクトレンズの度数が合っていないと、眼精疲労から目の痛みをまねくことがあります。また、BCが合っていないコンタクトレンズを装用すると、ズレたりゴミなどが入りやすくなったりするため、目の痛みが生じることも多くなるでしょう。

目に合うコンタクトレンズは、眼科を受診すれば処方してもらえます。定期的に眼科で検査を受け、度数やBCの合っているコンタクトレンズを処方してもらいましょう。

◇低含水レンズを選ぶ

目が乾きやすい方・涙量の不足を指摘されている方・コンタクトレンズを長時間装用する方は、低含水レンズを選ぶようにしましょう。低含水レンズは高含水レンズに比べて目の水分を吸収しにくいため、乾燥にともなう目の痛みに悩んでいる方におすすめです。

特に、シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズは、含水率が低く酸素透過性が高いため、酸素不足による目のトラブル予防にも適しています。

◇汚れが付きにくいコンタクトレンズを選ぶ

レンズ汚れによる目の痛みを防ぐために、汚れの付きにくさでコンタクトレンズを選ぶのも良い方法です。

タンパク汚れが気になる場合は、非イオン性素材のコンタクトレンズを選ぶようにしましょう。化粧品や体内の分泌物などに含まれる脂質汚れが気になる場合は、イオン性レンズがおすすめです。タンパク汚れも脂質汚れも寄せ付けたくないなら、イオン性レンズと非イオン性レンズの特性を兼ね備えた、両性イオン素材のレンズを選んでください。

デイリーケアが面倒な場合は、ワンデータイプのコンタクトレンズを選びましょう。ワンデータイプなら汚れを次の日以降に持ち越さないため、毎回清潔なコンタクトレンズを使えます。

■まとめ

コンタクトレンズで目が痛くなる原因はいろいろありますが、痛みを感じるなら無理にコンタクトレンズを装用してはいけません。特に、コンタクトレンズに不具合がある場合や、目に何らかのトラブルがある場合は、適切な対処をしないと重篤な眼障害をまねくおそれがあります。
気になる症状がある方はできるだけ早く眼科を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。

なお、目に痛みがない場合でも眼科で目の健康状態をチェックしてもらうことは大切です。定期的に眼科を受診して、目に合うコンタクトレンズを処方してもらいましょう。