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結膜炎になったらコンタクトレンズ使用はNG?結膜炎を防ぐ方法も解説

結膜炎になったらコンタクトレンズ使用はNG?結膜炎を防ぐ方法も解説

「何となく目がかゆい」「気が付いたら白目の部分が真っ赤に充血していた」などの症状は、だれもが一度は経験していることでしょう。このような症状があるときに疑われる病気の一つが「結膜炎」です。

コンタクトレンズを使っている方のなかには、繰り返し結膜炎にかかる人も少なくありません。そこでこの記事では、結膜炎とコンタクトレンズの関係に迫り、結膜炎になったときの対処法やコンタクトレンズによる結膜炎を防ぐ方法を解説します。

■そもそも結膜炎とは?

まずは、結膜炎の症状や種類、原因などを解説します。

◇結膜炎とは、結膜に発生する炎症のこと

結膜炎の「結膜」とは、白目の表面と上下のまぶたの裏側を覆っている半透明の膜のことです。そして、「結膜炎」とは、結膜が何らかの原因で炎症を起こしている状態を指します。

結膜炎のおもな症状は、以下のとおりです。

l  目の充血(白目、まぶたの裏側)

l  目やに

l  目のかゆみ

l  目の痛み

l  目のゴロゴロ感などの異物感

l  まぶたが腫れる

l  涙の量が増える など

結膜炎は、年齢を問わずだれにでも生じうるありふれた病気です。しかし、適切な治療を受けないと症状が長引いたり、視力低下をまねいたりする場合もあります。特に、結膜に傷が付いていると結膜炎になるリスクが高くなるため、注意が必要です。

◇結膜炎のおもな種類

結膜炎は、原因によって大きく3つに分けられます。それぞれの結膜炎の原因と特徴を、詳しく見ていきましょう。

・アレルギー性結膜炎

アレルギー性結膜炎は、花粉やハウスダストなどのアレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)が原因で生じるものです。

アレルゲンとなる物質は人により異なるため、アレルギー性結膜炎が他の人に移ることはありません。

アレルギー性結膜炎は、両眼に症状があらわれます。また、鼻症状やだるさなどをともなうことも少なくありません。充血と強いかゆみが特徴で、白っぽい糸を引くような目やにが出ることもあります。ただし、目やにの量はあまり多くありません。

症状が悪化すると、まぶたの裏側に大きな突起がいくつもできる「巨大乳頭結膜炎」になることもあります。

・細菌性結膜炎

細菌性結膜炎は、細菌感染が原因で生じる結膜炎です。抵抗力の弱い子どもや高齢者がかかりやすい結膜炎ですが、感染力は弱いため、他の人に移るリスクは高くありません。

細菌性結膜炎は片目のみに発症するケースが多いとされていますが、進行にともない反対側の目にも症状があらわれることがあります。目の充血と黄色く粘りの強い目やにが特徴で、痛みやかゆみが生じることはまれです。また、目以外の症状があらわれることもほとんどありません。

ただし、高齢の方がかかると症状が長く続き、眼瞼炎(がんけんえん)など他の病気を引き起こす場合もあります。

・ウイルス性結膜炎

ウイルス性結膜炎は、ウイルス感染が原因で生じる結膜炎です。原因ウイルスの感染力が強いため、かかってしまった場合は他の人に移さないよう配慮しなければなりません。学校などで集団発生することがある「はやり目(流行性角結膜炎)」や「プール熱(咽頭結膜炎)」なども、ウイルス性結膜炎の一種です。

ウイルス性結膜炎は、片目のみに発症した場合でも数日後には反対側の目に症状があらわれることが珍しくありません。おもな症状は、目の充血と異物感、水っぽい大量の目やになどですが、リンパ節の腫れなど全身の症状をともなうこともあります。

■コンタクトレンズが原因で結膜炎になることも

結膜炎は、目に合わないコンタクトレンズの使用や不適切なレンズケアが原因で引き起こされることもあります。いったいどのようなことが結膜炎のリスクとなっているのでしょうか。コンタクトレンズと結膜炎の関係を詳しく見ていきましょう。

◇物理的な刺激で生じる結膜炎

コンタクトレンズとまぶたの裏側部分の結膜が強くこすれ合うと、摩擦による物理的な刺激で結膜炎が生じることがあります。

コンタクトレンズによる物理的な刺激が原因なので、摩擦の少ないタイプのレンズに変更して目薬を併用するなどすれば、改善が期待できるでしょう。

しかし、症状が良くならない場合は、コンタクトレンズの使用中止を考えなければなりません。

◇レンズの汚れが原因で生じる結膜炎

コンタクトレンズに残っている汚れがアレルゲンとなり、アレルギー性結膜炎を起こすこともあります。

アレルゲンとなるのは、コンタクトレンズに付着して変性した、たんぱく質や脂質などの汚れです。2ウィークタイプやマンスリータイプ、あるいは長期間使用するタイプのコンタクトレンズを使用している場合に、適切な洗浄ができていないと発症リスクが高くなります。

特に、ダニやハウスダストによるアレルギー、花粉症などのある人は、分泌物が多くなってコンタクトレンズに汚れが残りやすいため、注意しなければなりません。

アレルギー性結膜炎がひどくなると巨大乳頭結膜炎になり、症状がさらに悪化することもあります。症状に気付いたら、早めに眼科を受診しましょう。

◇手指の汚れが原因で生じる結膜炎

汚れた手指でコンタクトレンズに触ると、ウイルスや細菌が原因の結膜炎になることがあります。

予防するためには、コンタクトレンズを扱う前だけでなく、普段から手指の清潔を心がけ、ついうっかり目元を触ってしまうことがないようにしなければなりません。

また、涙や目やにをふき取る際には、ハンカチやタオルなどではなくティッシュペーパーなどを使い、すぐ捨てるようにしましょう。

■結膜炎になった際の対処法

それでは、結膜炎になってしまったらどうすれば良いのでしょうか。コンタクトレンズ使用の可否も含めて解説します。

◇コンタクトレンズの使用はNG!

目の充血や痛み・かゆみ、目やになど、結膜炎が疑われる症状がある場合は、コンタクトレンズの使用を避けなければなりません。

使用を続けると、レンズとまぶた裏側の結膜がこすれて症状が悪化するおそれがあります。また、コンタクトレンズを装用していると使用できる目薬が限定されるため、治療に支障が生じかねません。

「もしかして、結膜炎?」と思ったら、すぐにコンタクトレンズを外して眼鏡に切り替えましょう。

◇早急に眼科を受診

結膜炎に限らず、目に異常を感じたらコンタクトレンズを外して目元を清潔に保ち、できるだけ早く眼科を受診してください。

「できれば市販薬で何とかしたい」と思うかもしれませんが、結膜炎をはじめとした目の病気は、原因によって使用すべき目薬が異なります。自己判断で正しい目薬を選ぶのは簡単なことではないうえ、結膜炎以外の病気が原因の可能性も否定できません。また、医師の処方がなければ入手できない目薬もあります。

症状の悪化を防ぐためにも、すみやかに眼科を受診して適切な治療を受けるようにしましょう。

■コンタクトレンズによる結膜炎を防ぐ方法

最後に、コンタクトレンズによる結膜炎を防ぐ方法を解説します。普段のレンズケアを見直したり、眼科を定期受診したりするだけで結膜炎のリスクはかなり抑えられるので、ぜひ実践してみてください。

◇コンタクトレンズを清潔に保つ

コンタクトレンズの洗浄方法が適切でないと、レンズに残ったたんぱく質や脂質などの汚れが変性してアレルゲンになることがあります。

そのため、コンタクトレンズを使用したあとはしっかり洗浄するようにしましょう。

アレルギー性結膜炎は、特に2ウィークタイプやマンスリータイプなどのソフトコンタクトレンズを使用している方に見られがちな病気です。きちんと洗浄していても結膜炎の症状が続く場合は、ワンデータイプへの変更も考えてみましょう。

なお、コンタクトレンズを清潔に保つためには、レンズケースのケアも欠かせません。コンタクトレンズケースを使用したら流水でしっかり洗い、自然乾燥させてください。乾燥が十分に行なえない場合は、ケースを2つ用意して交互に使うとよいでしょう。そして、ソフトコンタクトレンズのケースは少なくとも3ヵ月に1回、ハードコンタクトレンズのケースは半年~1年に1回は交換してください。

◇使っているレンズやケア用品を見直す

結膜炎を予防するためには、使っているコンタクトレンズの状態やケア用品を見直すことも大切です。

コンタクトレンズを使用する前には、傷や汚れをチェックし、異常がある場合は使用しないようにしましょう。

コンタクトレンズに傷があると汚れがたまりやすくなり、目に障害をまねくおそれがあります。また、破損したレンズを使うと目に傷が付くこともあるため、注意しなければなりません。

コンタクトレンズに汚れが付きやすい場合は、汚れの付きにくい非イオン性レンズや両性イオン素材のレンズ、シリコーンハイドロゲル素材のレンズ に変更してみましょう。汚れがたまりにくい、ワンデータイプのコンタクトレンズもおすすめです。

また、コンタクトレンズとまぶたの裏側との物理的な摩擦を減らすために、摩擦の少ないタイプのレンズに変えるのもよいでしょう。

なお、コンタクトレンズを煮沸消毒している場合は、消毒方法を見直すほうが良いかもしれません。コンタクトレンズを煮沸すると、汚れとして付着しているたんぱく質が変性してアレルゲンになる可能性が指摘されています。

コンタクトレンズの洗浄・消毒におすすめなのは、過酸化水素水タイプのものです。過酸化水素水タイプのケア用品は消毒効果が高く、アレルギー反応を起こしにくいとされています。

◇定期的に眼科を受診する

眼科を定期的に受診すれば、結膜炎だけではなく、自覚症状のない目の異常にも早く気付けます。また、目の状態に応じた適切なレンズを処方してもらえるため、目にかかる負担を最小限に抑えられるでしょう。

そして眼科を受診すれば、医師やコンタクトレンズ使用に精通したスタッフから、レンズの適正使用に関するアドバイスを受けられます。眼科によっては、購入の有無にかかわらず新製品を試せることもあるようです。

また、長期使用タイプのレンズを利用している場合は、レンズに傷が付いていないかなどもチェックしてもらえます。

■まとめ

結膜炎は、目の充血やかゆみ、目やになどをともなう目の病気です。原因はいろいろと考えられ、目に合っていないコンタクトレンズの使用や不適切なレンズケアなどが原因になっている場合もあります。結膜炎を疑う症状がある場合は、コンタクトレンズを外してすみやかに眼科を受診しましょう。

コンタクトレンズによる結膜炎を防ぐためには、コンタクトレンズを清潔に保つことが重要です。コンタクトレンズを洗浄していても結膜炎に繰り返しなる場合は、レンズの変更も考えてみましょう。

なお、特に気になる症状がない場合でも、眼科を定期的に受診することは大切です。レンズの傷などもチェックしてもらえるので、定期的に眼科を受診して、結膜炎など目の病気を予防しましょう。