コンタクトレンズを装用中に視界がぼやけた経験はありませんか。
視界がぼやける原因としては、レンズに問題がある場合や取り扱い方法が誤っている場合、目に異常がある場合など、さまざまなパターンが考えられます。コンタクトレンズの使い方を見直すだけで視界がすっきりするケースもある一方で、何をしても視界がクリアにならず、眼科受診が必要になることもあります。
そこで今回は、コンタクトレンズで視界がぼやけるおもな原因とともに、対応策や眼科を受診すべき場合について解説します。ぼやけ対策に有効なコンタクトレンズのタイプも紹介しますので、レンズ選びにもお役立てください。
コンタクトレンズで視界がぼやける原因はさまざまですが、ここでは代表的なものをいくつか紹介します。
視界がぼやける原因としてよくあるのが、コンタクトレンズの汚れです。汚れが付いてレンズ自体が曇ってしまうと、装用時の視界がクリアになりません。
レンズ汚れには、さまざまな種類があります。使用環境などに由来する汚れで多いのが、細かなホコリや花粉、メイクやハンドクリームといった化粧品類によるものなどです。涙や分泌液などに含まれる汚れとしては、たんぱく質や脂質、カルシウムなどがあります。
コンタクトレンズに付着した汚れは、視界のぼやけやかすみの原因になるだけではなく、目のトラブルをまねくこともあるため注意が必要です。
コンタクトレンズによる目の乾燥も、視界がぼやける原因の一つです。
コンタクトレンズを装用すると、涙の層がレンズで分断されて涙の状態が不安定になり、視界がぼやけることがあります。涙の量が減ると、目の負担が大きくなって疲れやすくなるため、ピントがうまく調節できず視界がぼやけやすくなります。
また、もともと目が乾燥しやすい方は、涙の蒸発を防ぐために脂質が多く分泌される傾向にあります。コンタクトレンズに付着・蓄積した脂質汚れが原因で、視界のぼやけが生じることも少なくありません。
コンタクトレンズ装用にともなう目の酸素不足も、視界のぼやけをまねく一因です。
コンタクトレンズで目の表面が覆われると、目に届く酸素の量が少なくなり、角膜細胞(黒目の部分の細胞)の新陳代謝がうまくいかなくなります。それによって角膜が傷付きやすくなり、小さな傷がきっかけで炎症が起きると、視界がぼやけることがあります。
目の酸素不足は視界のぼやけをまねくだけでなく、視力低下や失明につながることもあるため危険です。
視界のぼやけの原因で多いのが、コンタクトレンズの左右または裏表を間違えて使っているケースです。
左右で度数の違うコンタクトレンズを使っている場合、右と左を間違えて装用すると度数が合わないため、視界がぼやけてしまいます。
たとえ左右が間違っていなくても、コンタクトレンズを裏返した状態で装用してしまうと物がぼやけて見えることがあります。これは、裏返しに使うとコンタクトレンズのカーブが目の形にうまくフィットしないためです。
コンタクトレンズの裏表を間違えると、装用感が悪くなったり目を傷付けたりすることもあるため、注意してください。
コンタクトレンズの度数やBC(ベースカーブ:レンズの曲がり具合をあらわす数値)が目に合っていないために、視界がぼやけることもあります。
度数の合わないコンタクトレンズでは、装用しても視力をうまく矯正できないため、物がぼやけて見えてしまいます。たとえ購入時に眼科で視力測定を受けていても、気が付かないうちに視力が変わっていることがあるため注意しましょう。
また、コンタクトレンズのBCが合っていないと目にうまくフィットせず、視界がぼやけやすくなります。BCの合わないコンタクトレンズを使うと、目の乾燥や炎症などをまねくリスクも高まるため、自分に合うBCを知っておくことが大切です。
コンタクトレンズによる視界のぼやけの原因がわかれば、解消するのはそれほど難しいことではありません。ここでは、ぼやけを解消する方法と、ぼやけの予防につながるコンタクトレンズの選び方を紹介します。
コンタクトレンズの装用で視界がぼやける場合は、まずていねいなデイリーケアを心がけてください。コンタクトレンズの種類に関係なく、こすり洗いは必須です。汚れがひどい場合は、たんぱく除去剤の使用をおすすめします。
汚れの付着を防ぐために、コンタクトレンズの着脱前に手指をしっかり洗うことも大切です。メイクはコンタクトレンズ装用後に行ない、外してからクレンジングなどのスキンケアをしましょう。
コンタクトレンズの洗浄が上手にできない場合は、ケアの必要がないワンデータイプのコンタクトレンズがおすすめです。メイク汚れなどが気になるなら、汚れを引き寄せにくい非イオン性のコンタクトレンズを選ぶとよいでしょう。
コンタクトレンズによるぼやけを解消するには、目の乾燥や酸素不足を防ぐことも重要です。
目の乾燥は、装用時に装着液を使用したり、目薬を適宜使用したりすることで改善できます。目薬が手もとにない場合は、意識してまばたきの回数を増やし、目を潤すようにしましょう。
目の乾燥や酸素不足を防ぐには、環境にも気を付けなければいけません。例えば、エアコンの風が直接当たらないようにするだけで、目の乾燥はかなり抑えられます。パソコンやスマートフォンなどの長時間使用で目を酷使している場合は、適度に休憩を取って目を休ませるようにしてください。
ぼやけ対策として、目が乾燥しにくい低含水レンズや、酸素透過性が高く目が乾燥しにくいシリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズを選ぶのも一つの方法でしょう。
コンタクトレンズ装用にともなう視界のぼやけを防ぐには、レンズの左右・裏表を間違えないようにすることも大切です。
左右で度数やBCの違うレンズを使っている場合は、ブリスターケースを開ける前に度数などを確認して正しく装用するようにしましょう。
2ウィークタイプやマンスリータイプを使っている場合は、保管時に左右を間違えてケースに入れないようにしてください。毎回同じ側の目から着脱することを心がければ、取り間違えのミスは減らせるでしょう。
コンタクトレンズの裏表を間違えやすい方は、レンズ表面に数字やマークが付いている商品を選ぶのがおすすめです。レンズが裏返しになっていると数字やマークが正しく読めないため、裏表を簡単に判別できます。
コンタクトレンズで視界がぼやけるときは、目やレンズにトラブルが生じている可能性が否定できません。以下のような不調や要望がある場合には、早めに眼科を受診して、医師に目やレンズの状態を確認してもらいましょう。
これまでに紹介したように、適切な対策をしても視界のはっきりしない状態が続く場合は、目やコンタクトレンズに何かしらの異常が生じているおそれがあります。
このような場合は、眼科を速やかに受診して医師の診察を受けてください。治療が遅れると症状が悪化することもあるため、放置は厳禁です。
なお、視界がぼやける原因がわかるまで、コンタクトレンズの使用は避けるほうがよいでしょう。
視界のぼやけを解消するためにコンタクトレンズを変更したい場合も、眼科受診が必要です。診察を受けずに自己判断でコンタクトレンズを変更すると、ぼやけの症状が悪化するおそれがあります。
そもそも、コンタクトレンズを購入する際に必要となる目の度数やBCは、眼科を受診しないと測定できません。目の状態に合う酸素透過率なども、医師でなければ判断できないでしょう。
たとえ度数やBCなどがわかっていても、現在使用しているものとは違うメーカー・種類のコンタクトレンズを選ぶと、見え方や装用感が変わることがあります。
目に合う度数やBCを正確に知り、ぼやけの生じないコンタクトレンズを処方してもらうためにも、レンズの変更を希望する場合は眼科を受診してください。
コンタクトレンズ装用にともなう目のぼやけのほか、痛み・かゆみ・充血・目やになどがある場合は、目にトラブルが生じているおそれがあります。コンタクトレンズを装用していないときに、目の違和感などがある場合も同様です。
これらの症状は、目の病気や傷が原因で生じている可能性もあるため、できるだけ早く眼科を受診して適切な治療を受けましょう。
コンタクトレンズの装用で視界がぼやけるのは、レンズが汚れていたり、左右・裏表が間違っていたりするからかもしれません。このほか、目の乾燥や酸素不足、度数の変化などが視界のぼやけの原因になっていることも少なくないでしょう。
さらに、目の病気や傷が原因で視界がぼやけるケースもあるため、目の不調を放置してはいけません。快適にコンタクトレンズを使い続けるためにも、ぼやけの症状が続く場合は、早急に眼科を受診しましょう。
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