カラコン(カラーコンタクトレンズ)は、目の印象を変えられる便利なアイテムです。しかし、カラコンは目に少なからず負担をかけるものなので、装用時間を守らないと眼障害をまねくおそれがあります。
この記事では、カラコンの連続装用可能時間や、装用時間を守らなければならない理由などを解説します。カラコンが初めての場合・久しぶりの場合の装用時間の目安や、快適に長時間使うポイントなども紹介しますので、連続装用に不安がある方は参考にしてください。
カラコンを連続で装用できる時間は、レンズの素材や特性、装用する方の目の健康状態によって異なります。医師から特に指示がない場合は、添付文書に記載の装用時間を守りましょう。
カラコンの連続装用可能時間は、パッケージに同封されている添付文書に記載されています。添付文書はメーカーの公式サイトに掲載されている場合もあるため、購入前に調べることも可能です。
カラコンはレンズが着色されているため、クリアレンズに比べて厚みが出やすく酸素透過率が低い傾向があります。そのため、クリアレンズよりも装用可能時間が短めになっていることも少なくありません。ただし、酸素透過率が高く含水率の低いシリコーンハイドロゲル素材のカラコンであれば、12~14時間ほど装用できるものもあります。従来素材のレンズは装用可能時間が短めに設定されていることが多い一方、シリコーンハイドロゲル素材のレンズと同じくらい長く装用できる商品もあります。
カラコンの添付文書に記載されている装用時間は、あくまで目安です。実際に連続装用できる時間は、目の健康状態や涙の量などによって変わります。また眼科医から装用時間について指示がある場合は、必ず指示に従いましょう。
目の状態は毎日同じとは限りません。たとえ医師からの指示がなくても、乾燥や疲れが気になる場合は早めにカラコンを外して目を休ませましょう。
添付文書が手もとにない場合や、メーカーの公式サイトで添付文書を確認できない場合、カラコンの装用時間は1日8時間を目安にしてください。
「短すぎる」と思うかもしれませんが、素材や特性がわからないカラコンを長時間装用するのはおすすめできません。
自己判断でカラコンを長時間装用すると、目の乾燥や酸素不足が進み、炎症や角膜トラブルを引き起こすこともあります。快適にカラコンを装用するためにも、無理な長時間装用は控えましょう。
酸素透過率が高く目が乾きにくいシリコーンハイドロゲル素材のレンズでも、いきなり長時間装用すると目に大きな負担がかかります。初めてカラコンを使う場合は、少しずつ装用時間を延ばして目を慣らしていきましょう。久しぶりにカラコンを使う場合も同様です。
カラコンを初めて使う場合、長時間の使用は避けてください。添付文書に記載されている目の慣らし方を参考にして、少しずつ装用時間を延ばしていきましょう。
以下は、1日に12時間連続装用できるカラコンのスケジュール例です。
カラコン装用1日目:4~6時間
カラコン装用2日目:6~8時間
カラコン装用3日目:8~10時間
カラコン装用4日目:10~12時間
カラコン装用5~6日目:12時間以内
カラコン装用7日目以降:終日装用(12時間以内が目安)
添付文書がない場合は、カラコンの装用を2時間から始めてください。スケジュール例は以下のとおりです。
カラコン装用1日目:2時間
カラコン装用2日目:3時間
カラコン装用3日目:4時間
カラコン装用4日目:5時間
カラコン装用5日目:6時間
カラコン装用6日目以降:8時間
なお、医師から装用スケジュールや装用時間について指示がある場合は、その指示に従ってください。
久しぶりにカラコンを使用する場合は「慣らし」が必要になります。
中断期間が1週間以上1ヵ月未満の場合は、カラコンを初めて使うときと同様に、目を少しずつ慣らしましょう。先ほどのスケジュール例を参考に、ゆっくりと慣らしていくと目にかかる負担を抑えられます。
1ヵ月以上使用していない場合は、事前に眼科を受診してください。目の状態によってはカラコンの変更が必要になることもあるため、自己判断での装用は避けましょう。
なお、カラコンの装用中断が1週間未満の場合、慣らし期間は不要です。目の状態に問題がなければ、いつもと同じように装用できます。ただし、装用時間を短くするよう推奨している商品もあるため、不安がある場合は2~4時間ほど短めにしてください。
カラコンに慣れてくると、つい装用時間が長くなりがちです。しかし、装用時間を守らないと、目に重篤な症状をまねくおそれがあります。
カラコンはレンズ直径が大きく、角膜(黒目)を広く覆う作りになっています。そのため、装用中は目に十分な酸素を供給するのが難しくなります。
目に酸素が行きわたらないと、充血や角膜細胞のダメージなどのトラブルにつながるリスクが高くなるため、大変危険です。
カラコンなどのソフトコンタクトレンズは、水分を含む素材で作られているため、長時間装用すると水分が蒸発して乾燥が進みます。レンズが乾燥すると失った水分を補うために涙が吸収され、乾燥をまねきやすくなります。この傾向は、レンズ内の水分が多い高含水レンズで特に顕著です。
目が乾燥すると、痛みや違和感が生じたり、レンズが目に張り付いたりすることもあります。したがって、含水率の高いカラコンを使う場合は、装用時間を超えないように気を付けなければなりません。
カラコンによる目の酸素不足や乾燥は、目の疲れを引き起こす原因にもなります。度ありのカラコンを使っている場合は、度数が合っていないと疲れ目を悪化させることがあるため、より注意が必要です。
目の疲れがひどくなると、目の痛みや充血だけではなく、頭痛や肩こり、吐き気などの全身の不調があらわれ、休憩や睡眠をとっても症状が回復しにくくなります。
カラコンは、正しく取り扱わないとレンズの表面に色素が露出することがあります。製法によっては、色素が剥がれやすいものもあります。目に接する面に色素が露出していると角膜にキズが付きやすいため、注意が必要です。
また、長時間カラコンを着けているとレンズが乾いて目に張り付き、取り外す際に目をキズ付けるリスクも高まります。目にキズが付くと、カラコンはもちろんほかのコンタクトレンズも使用できなくなります。
目の酸素不足や乾燥、キズなどは、角膜の損傷や細菌感染の原因になります。しかし、カラコンのようなやわらかいコンタクトレンズを使っていると、「バンデージ効果(絆創膏のような作用)」で痛みや違和感が緩和されるため、目の異常に気付かないこともあります。
目の異常を放置すると、症状が悪化して視力低下や失明をまねくこともあるため、大変危険です。
それでは、目の健康を維持しながらカラコンを楽しむためにはどのようにすれば良いのでしょうか。ここからは、カラコンを使う方が特に気を付けるべきポイントを紹介します。
カラコンは、雑貨店やインターネット通販などでも気軽に購入できますが、目に合う商品を購入するためには、正確なレンズデータを把握しておかなければなりません。自己判断でレンズを選ばず、必ず眼科を受診しましょう。
普段クリアタイプのコンタクトレンズを使用している方も、眼科受診は必要です。コンタクトレンズは、度数やBC(ベースカーブ:レンズの曲がり具合を表す数値)が同じでも、素材やレンズ設計などが異なると、装用感や見え方も変わります。購入してから後悔しないためにも、カラコンを購入する際は眼科で処方を受けましょう。
そして、購入後は定期受診を欠かさないでください。カラコンなどコンタクトレンズによる重篤な眼障害は、受診間隔が3ヵ月を超えている人に多く発生しています。自覚がないまま眼障害が進んでいることもあるため、3ヵ月に1回は眼科を受診して、目のトラブルの早期発見・予防を心がけましょう。
カラコンを選ぶ際には、カラーやデザイン、着色直径だけでなく、レンズそのものの性能にも目を向けましょう。
特に大切なのは酸素透過率です。酸素透過率は、パッケージや添付文書などに「DK/L値」として表示されており、数値が大きいほど目に届く酸素の量が多くなります。
また、カラコン選びではレンズ直径(DIA)も大切です。
DIAは、黒目より小さすぎると不快感やズレの原因となり、大きすぎると目を覆う範囲が広くなるため、酸素不足をまねきやすくなります。平均的な日本人の場合、黒目の大きさは11.0mm~12.5mm程度なので、DIAはこれより一回り大きい14.2mm程度が良いとされています。
目の乾きが気になる場合は、レンズの水分量が少ない低含水レンズがおすすめです。ただし、従来素材のレンズの場合、一般に含水率が低くなると酸素透過率が低くなります。一方、シリコーンハイドロゲル素材のレンズなら、含水量が低くても素材そのものが酸素をよく通すため、目の酸素不足と乾燥を同時に防ぐことが可能です。
2ウィークやマンスリーなどの定期交換タイプのカラコンは、毎日のケアが欠かせません。毎回洗浄液でこすり洗いをして、雑菌や汚れをしっかり取り除きましょう。レンズケースも毎日洗い、自然乾燥させてください。清潔な状態を維持するために、1.5ヵ月~3ヵ月に1回は新しいケースに交換しましょう。
毎日のお手入れが難しい場合は、デイリーケア不要のワンデータイプへの変更も考えてみてください。
カラコンを快適に使うためには、装着液や目薬を使うのも方法の一つです。目やレンズの乾きが軽減されるだけでなく、装着液を使えばくもりや汚れ、疲れ目を防ぐ効果も期待できるため、快適な付け心地が長続きします。
ただし、装着液・目薬ならどれでも良いわけではありません。カラコンに使えない商品もあるため、パッケージの記載内容などを確認してから購入しましょう。
カラコンの装用時間が長くなると、酸素不足や乾燥から目が疲れやすくなります。目が疲れると目のトラブルを引き起こしやすくなるため、装用時間が長くなる場合は、装用可能時間内でも意識して目を休めるようにしましょう。
疲れや異物感があるときは早めにカラコンを外す・無理に使い続けないなど、目の負担を減らす工夫も大切です。カラコンを快適に使い続けるために、目をいたわることを忘れないようにしてください。
カラコンの装用時間の目安は、場合によって異なりますが、おおむね8時間~14時間です。適切な装用時間を守らずに使用すると、眼障害をまねくおそれがあります。カラコンを使う際はあらかじめ装用可能時間を確認し、目に負担をかけすぎないようにしましょう。特に、カラコンが初めての場合や久しぶりに使う場合は、少しずつ装用時間を延ばして目を慣らしていく必要があります。
カラコンを快適に使うためには、眼科受診や適切なケアも欠かせません。目の状態に応じたカラコンを医師に処方してもらい、無理な装用をしないよう心がけながら、おしゃれを楽しんでください。