カラコン(カラーコンタクトレンズ)の使用に年齢制限はありません。しかし、「手もとが見づらくなってきた」「眼科で老眼を指摘された」などの理由で、カラコンの使用をあきらめている方もいるのではないでしょうか。
そのような方におすすめなのが、遠近両用カラコンです。遠近両用カラコンなら近くも遠くも見やすくなり、瞳の印象を変えることもできます。ただし、いくつかのデメリットがあることも把握しておかなければなりません。
この記事では、遠近両用カラコンの魅力や注意点、購入方法などを解説します。
そもそも、遠近両用カラコンとはどのような製品で、どのような人向けなのでしょうか。おすすめの使用開始年齢と併せて見ていきます。
遠近両用カラコンとは、近くを見る用と遠くを見る用の度数が1枚のレンズに配置されており、手もとから遠くまで快適な視界が得られるカラコンです。
遠近両用カラコンのレンズには、近くを見るためのゾーン・中間距離を見るためのゾーン、遠くを見るためのゾーンがバランス良く配置されています。そのため、近くも遠くもストレスなく見ることが可能です。
また、遠近両用カラコンを使えば、ものを見るたびにメガネをかけたり外したりする手間がなくなり、外出時にメガネを持ち歩く必要もありません。瞳の印象も変えられるため、快適さとおしゃれを両立できます。
「カラコン装用時の見え方に不便を感じることはあるけれど、遠近両用カラコンが必要な状態かどうかわからない」という場合は、以下の点をチェックしてみましょう。
1. 以前より手もとが見えづらくなった。
2. ピントが合うまでに時間がかかることがある。
3. 夕方になると目の疲れを感じやすい。
4. 首や肩のコリが気になる。
5. カラコンと老眼鏡を併用している。
6. カラコンでのおしゃれをあきらめ、遠近両用コンタクトレンズを使っている。
特に5番目と6番目に心当たりがある方には、遠近両用カラコンの使用をおすすめします。
それでは、遠近両用カラコンは何歳頃から使うべきなのでしょうか。
一般的に、近くが見えにくくなる老眼の症状が気になり始めるのは40代頃からです。しかし、症状の表れ方には個人差があり、30代で手もとが見づらくなる人もいます。
遠近両用カラコンの使用に年齢制限は設けられていないため、「手もとが見づらい」「少し離さないとピントが合わない」などの症状を感じ始めたら、何歳からでも遠近両用カラコンを使い始めることができます。
遠近両用カラコンは、ほかのカラコンとは少し異なる特徴があるため、使用する際にはいくつかの点に注意が必要です。ここでは、遠近両用カラコンのメリットと、購入前に知っておくべきデメリットを紹介します。
遠近両用カラコンを使うと、見えづらさが解消されて目もとの印象が良くなるだけではなく、生活面にも良い影響が期待できます。
・遠くも近くも見やすくなる
遠近両用カラコンは、近くを見るための度数と遠くを見るための度数がバランス良く配置されているため、手もとも遠くも快適に見ることができます。
老眼鏡のようにかけたり外したりするわずらわしさがなく、周りの人に老眼であることを気付かれにくい点も大きなメリットといえるでしょう。
・おしゃれを楽しめる
遠近両用カラコンなら、見え方を改善すると同時に、瞳の印象を変えることも可能です。自分好みのデザインを選べば、理想の瞳により一層近づけるでしょう。
また、遠近両用カラコンを装用すれば近くがはっきり見えるため、思いどおりのメイクができます。もちろん、メイク直しも簡単です。
・アクティブに過ごせる
遠近両用カラコンはメガネのようにフレームがないため、広い視野を確保できます。また、ズレたり外れたりすることが少なく、息や湯気などで曇ったりすることもありません。
さらに、必要に応じてサングラスをかけることもできるため、運動時や外出時にストレスを感じることが少なくなり、よりアクティブに過ごせるでしょう。
遠近両用カラコンは近くも遠くも見やすくなるように設計されているため、普通のカラコンとは異なる注意点があります。
・見え方に慣れるまでに時間がかかる
遠近両用カラコンの場合、近くを見るための度数と遠くを見るための度数が1枚のレンズ内に配置されているため、見え方に慣れるまでに時間がかかります。
慣れるまでにはソフトコンタクトレンズで1週間ほどかかりますが、コンタクトレンズの使用経験がある方は数日で慣れることもあるようです。
なお、見え方に慣れるまでの日数は、加入度数(近くを見る度数と遠くを見る度数の差)が低いほうが短くて済みます。したがって、手もとの見づらさなどを感じ始めたら、早めに遠近両用カラコンに切り替えるのがおすすめです。
・見え方に不満を感じる場合がある
遠近両用カラコンを使うと手もとの見づらさは解消されますが、遠くの景色などの見え方については質が落ちることがあります。そのため、「遠くも近くもしっかり見たい」という方は、遠近両用カラコンの見え方に不満を感じるかもしれません。
さらに、遠近両用カラコンでは、暗いところでものが見えづらかったり、夜間は屋外の光がにじんで見えたりする場合もあります。
もっとも、見え方には個人差がありますし、メーカーの違う製品で見づらさが解消される場合もあります。このようなことから、遠近両用カラコンが合わないと感じる場合は、別のメーカーの製品を試してみるとよいでしょう。
・選択肢が少ない
遠近両用カラコンは複数のメーカーから販売されていますが、まだ種類は少ないのが現状です。色やデザイン、加入度数の範囲も限られているため、欲しいと思える製品がない場合もあるでしょう。
しかし、カラコンユーザーの年齢層はどんどん広がっています。ニーズが高まれば、遠近両用カラコンを開発・販売するメーカーも増えてくると考えられるため、今後選択肢が広がる可能性は大いにあるでしょう。
ここからは、遠近両用カラコン購入までの流れと注意点を併せて解説します。
遠近両用カラコンの購入を希望する場合は、まず眼科を受診してBC(ベースカーブ:レンズの曲がり具合を表す数値)や度数、加入度数などを測定してもらいましょう。
これらはいずれも目に合うカラコンを選ぶために欠かせないデータですが、自分で調べることはできません。目に合わないレンズは、見づらいだけでなく疲れ目などの原因になりかねないため、必ず眼科を受診して検査を受けましょう。
なお、眼科によっては遠近両用カラコンを取りあつかっていない場合もあります。そのため、あらかじめ電話などで問い合わせておくと安心です。
メーカーの公式サイトから、遠近両用カラコンを取りあつかっている眼科や専門店を検索できることもあるので、希望のレンズが決まっている場合は活用してみましょう。
正確なデータがわかったら、次はレンズ選びです。遠近両用カラコンは種類が少なく選択肢は限られますが、それでもメーカーごとに工夫された色やデザインの製品が販売されています。
度数や加入度数などにも注意しながら、見やすさと瞳のおしゃれを両立できる製品を選びましょう。
眼科で発行された処方箋があれば、眼科併設店やカラコン専門店、通販サイトなどで遠近両用カラコンを購入できます。
とはいえ、初めての場合は実店舗で購入するのが安心です。実店舗なら、レンズや目にトラブルが生じた場合でもすぐ相談できますし、付け外しやケア方法の指導も受けられます。何回か実店舗を利用し、遠近両用カラコンの利用に慣れてきたら、通販サイトから購入してもよいでしょう。
ただし、どのようなタイプの店舗や通販サイトであっても、製品を購入する前に必ず「高度管理医療機器等販売業許可番号」の有無を確認してください。遠近両用カラコンなどのコンタクトレンズは厚生労働省から「高度管理医療機器」に指定されており、販売には特別な許可が必要となっているからです。
「高度管理医療機器等販売業許可番号」が確認できない店舗では、安全性に問題がある製品が販売されているおそれがあるため、利用はおすすめできません。
遠近両用カラコンを購入する店舗が決まったら、処方箋をもとにレンズを購入しましょう。
実店舗の場合は、処方箋を提示するだけで希望の製品を購入できます。自分でレンズを選ばなくて済むため、購入ミスのリスクはほとんどありません。
しかし、通販サイトの場合は、処方箋のレンズデータをもとに自分で製品を購入します。入力ミスをすると別の製品が届いてしまうため、間違えないように気を付けましょう。
なお、眼科で発行される処方箋には有効期間が設けられています。期間が切れると処方箋が無効になってしまうため、処方箋を受け取ったら早めに購入しましょう。
遠近両用カラコンは、年齢を重ねてもカラコンを使い続けたい方におすすめのアイテムです。メガネをかけるわずらわしさがなく、瞳の印象も変えられるため、アクティブに過ごしながらおしゃれを楽しむことも可能でしょう。
ただし、目に合う遠近両用カラコンを選ぶためには眼科への受診が必須です。また、見え方に慣れるまでに少し時間がかかるため、見づらさを感じたら早めに眼科を受診し、加入度数の低いうちに遠近両用カラコンを処方してもらいましょう。
製品の選択肢はまだ少ないですが、遠近両用カラコンはとても有用なアイテムです。目に合う製品を見つけ、見やすさとおしゃれを同時にかなえてください。
公開月:2024/2