「寝るときにコンタクトレンズを外すのが面倒」「もっと長時間コンタクトレンズを使いたい」と思ったことはありませんか。そのようなときに便利なのが、24時間以上連続して装用できる「連続装用」コンタクトレンズです。
もっとも、コンタクトレンズを連続装用するためにはいくつか注意しなければならない点があります。また、だれもがコンタクトレンズを連続装用できるわけではありません。
そこでこの記事では、コンタクトレンズの「連続装用」と「終日装用」の違いや、知っておくべき注意点などを解説します。
まずは、「連続装用」コンタクトレンズと通常の「終日装用」コンタクトレンズの違いを知っておきましょう。
連続装用コンタクトレンズは、簡単にいうと装用したまま眠ることができるコンタクトレンズです。眼科医が指示した期間内であれば、数日間外さずに過ごせます。
一般的にNGとされている就寝時でも装用が可能なのは、レンズが酸素透過率の高い素材で作られているためです。連続装用できる期間の上限は商品ごとに異なり、2週間までとされているものもあれば最長1ヵ月間使えるものなどもあります。
ただし、連続装用できるかどうか、何日連続装用できるかは目の状態によって変わります。そのため、装用の可否や装用期間は必ず眼科医の指示にしたがわなければいけません。
なお、コンタクトレンズを連続装用する場合、つけ外しの回数は少なくなりますが定期的なレンズケアやレンズ交換は必要です。レンズを外したら念入りにケアを行ない、交換時期が来たら新しいレンズに交換するという点は、通常のコンタクトレンズと変わりありません。
終日装用コンタクトレンズは、起きているときだけ使用できる一般的なコンタクトレンズです。「終日」といっても24時間装用できるわけではなく、寝る前には必ず外さなければいけません。
終日装用コンタクトレンズも、装用の可否や1日の装用可能時間は目の状態によって変わるため、眼科医の指示にしたがわなければいけません。
また、使用できる日数は商品ごとに異なります。ワンデータイプのコンタクトレンズは1回限りの使用で、一度外したら同日中でも再使用できません。2ウイークタイプやマンスリータイプのコンタクトレンズは繰り返し使用できますが、使えるのは開封から2週間あるいは1ヵ月間に限られています。使用期間を過ぎたコンタクトレンズは廃棄し、新しいものと交換します。なお、ワンデータイプ以外は、使用後に毎回ケアが必要です。
次に、連続装用コンタクトレンズの装用パターンの例やお手入れのタイミングなどを見ていきましょう。
連続装用コンタクトレンズでも、使用時間を短くして終日装用することは可能です。「平日は部活動や塾が忙しい」「帰宅後すぐに寝落ちしてしまう」という中高生の方であれば、「平日のみ連続装用して土日祝日は終日装用」という使い方でもよいでしょう。
仕事のシフトが不規則で夜遅くに帰宅する日がある方や週末に思いっきり遊びたい方なら、「夜遅くまで起きている日のみ連続装用で普段は終日装用」という使い方をしてもよいかもしれません。
医療職や警備職、報道職など泊りがけの勤務や仮眠付きの宿直当番がある方、工場など定期的に夜勤がある方にも、連続装用コンタクトレンズはとても便利です。例えば、「宿直や夜勤の日は連続装用、それ以外の日は終日装用」とするだけで、コンタクトレンズのつけ外しのストレスはかなり軽減されます。
連続装用コンタクトレンズは、レンズを外したタイミングで洗浄・消毒します。
一般的に、コンタクトレンズは連続装用時間が長くなるほど汚れが蓄積します。汚れを放置すると、コンタクトレンズの性能が低下するだけではなく、目にトラブルが生じるリスクも高くなるため、一度外したコンタクトレンズは必ずケアが必要です。
なお、コンタクトレンズに合うケア商品や洗浄・消毒方法は商品によって異なります。適切な方法がわからない場合は、眼科やレンズ購入店で確認しましょう。
連続装用コンタクトレンズはとても便利ですが、だれでも使えるわけではありません。ここでは、連続装用コンタクトレンズの適用となる方と使用がすすめられない方、連続装用コンタクトレンズが使えない場合の対処法を併せて解説します。
連続装用コンタクトレンズの適用となるのは、おもに以下のような方たちです。
うっかり眠ってしまうことが多い方
仮眠することがある方
業務上、長時間のコンタクトレンズ装用が避けられない方
夜勤がある方 など
ただし、就寝中はまばたきによる涙液の交換ができず、涙液の分泌量自体も少なくなります。そのため、目やコンタクトレンズが乾燥しやすく、酸素不足のリスクも避けられません。
したがって、目の健康のためには連続装用よりも寝る前にコンタクトレンズを外す終日装用のほうがおすすめです。医師にコンタクトレンズの連続装用が許可されている場合でも、装用時間はできるだけ短くするほうがよいでしょう。
連続装用コンタクトレンズの適用になる方でも、以下の場合は連続装用コンタクトレンズを使えません。
涙の量が連続装用に向いていない場合
アレルギー体質の場合
その他、眼科医が不適と判断した場合
上記に該当し、連続装用コンタクトレンズが使用できない場合でも、仕事などで長時間の視力矯正が必要な方もいることでしょう。
そのような方には、酸素透過性の高いハードコンタクトレンズやシリコーンハイドロゲル素材のソフトコンタクトレンズがおすすめです。
ワンデータイプのコンタクトレンズを1日の装用可能時間ぎりぎりまで使用し、そのあとメガネに切り替えるという方法でもよいでしょう。ワンデータイプのコンタクトレンズとメガネの併用ならレンズケアの手間がないため、忙しい方にもおすすめです。
最後に、連続装用コンタクトレンズを使う際に守るべき注意点をいくつか紹介します。
コンタクトレンズを連続装用できるかどうかは目の状態によります。連続装用が可能な場合でも、続けて装用できる期間は人それぞれです。
コンタクトレンズの連続装用を希望する場合は必ず眼科で診察を受け、医師の指示にしたがって正しく装用してください。
コンタクトレンズは、どれでも連続装用できるわけではありません。
連続装用できるコンタクトレンズは限られているため、連続装用したい場合は医師に希望をきちんと伝えて、目の状態に応じた適切なレンズを処方してもらいましょう。
なお、希望に沿わないコンタクトレンズが処方された場合でも、自己判断でのレンズ変更はしないでください。処方されたものとは異なるコンタクトレンズを使うと、目の健康を損なう可能性があります。
連続装用コンタクトレンズを使用していて、目に異物感や痛み、充血、目やになどが生じた場合はすぐに眼科を受診してください。目に異常があるのにコンタクトレンズを装用し続けると、さらに症状が悪化するおそれがあります。
コンタクトレンズの破損や汚れにも気を付けなければいけません。破れや欠けのあるコンタクトレンズや汚れているコンタクトレンズを使うと、目に傷がついたり感染症をまねいたりすることがあるため、とても危険です。
装用したまま就寝できる連続装用コンタクトレンズは、コンタクトレンズを長時間使用したい場合や仮眠をとる場合、夜勤がある場合などに大変便利なアイテムです。
しかし、自己判断でコンタクトレンズを連続装用してはいけません。連続装用が可能なコンタクトレンズは限られていますし、連続して装用できる期間は人によって異なります。また、目の状態によっては連続装用ができない場合もあります。
コンタクトレンズの連続装用は終日装用に比べて目にかかる負担が大きいため、使用は本当に必要な場合に限るべきです。やむを得ず連続装用を希望する場合は、眼科医の指導の下で適切に使用しましょう。