社会人になったのを機に、コンタクトレンズデビューを考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
メガネをやめてコンタクトレンズを使い始めると、見た目の印象を大きく変えられます。また、業務内容に適したレンズを選べば、より快適に仕事に取り組めるかもしれません。
そこで今回は、コンタクトレンズの装用を考えている社会人のために、コンタクトレンズの選び方をシーン別に解説します。仕事中に使っているコンタクトレンズの種類・タイプを変更したいと思っている方も、ぜひ参考にしてください。
デスクワークがメインで、パソコンの画面などを見る時間が長くなると、気が付かないうちにまばたきの回数が減って目が乾きやすくなります。また、エアコンを使っているオフィスでは、空気の乾燥による目の乾きにも注意しなければなりません。
目の乾燥対策としては、目薬の使用や適度な休憩が効果的ですが、仕事中に目を休めるのはなかなか難しいものです。
そこでおすすめなのが、目が乾きにくいハードコンタクトレンズや低含水レンズです。瞳の酸素不足が気になる場合は、シリコーンハイドロゲル素材のレンズを選ぶとよいでしょう。
ハードコンタクトレンズは、レンズ直径が小さく動きが良いのが特徴です。まばたきのたびにレンズが動くため、新鮮な涙を瞳に届けられます。
また、ソフトコンタクトレンズと違ってハードコンタクトレンズはレンズ内に水分を含まないため、使用時間が長くなってもレンズに涙が吸収されません。
そのため、目が乾きやすいオフィスワーカーにおすすめのコンタクトレンズといえます。
ただ、ハードコンタクトレンズは硬い素材で作られているため、特に慣れない間の装用感はあまり良くありません。装用時の異物感が気になる場合は、低含水レンズやシリコーンハイドロゲル素材のレンズの使用を考えてみましょう。
ソフトコンタクトレンズはレンズ内に水分を含んでいますが、低含水レンズはレンズ内の水分量が少ないため、長時間装用しても失われる水分量はそれほど多くありません。結果として、レンズが吸収する涙の量も少なくなるため、目の乾燥が気になる方におすすめです。
また、低含水レンズは空気が乾燥しても乾きにくい設計になっているため、エアコンの効いた室内での使用に適しています。
薄くやわらかな素材で作られているため、ハードコンタクトレンズに比べて装用感が良いのも大きな特徴です。
ただし、一般的にソフトコンタクトレンズは含水率が低いと酸素透過性も低くなります。そのため、瞳の酸素不足に注意が必要です。
「ハードコンタクトレンズの装用感が好きになれない」「瞳の酸素不足も心配」という方には、シリコーンハイドロゲル素材のレンズをおすすめします。
シリコーンハイドロゲルは、低含水と高い酸素透過性を同時にかなえる新素材です。目が乾きにくく、瞳の酸素不足も防げるため、デスクワークで目を酷使しがちな方に向いています。
装用感の良いソフトコンタクトレンズなので、ハードコンタクトレンズ使用時の不快感が苦手な方にもおすすめです。
営業職などで外回りが多い方・屋外での作業が多い方などの場合、瞳の紫外線対策もしっかり行なわなければなりません。強い紫外線を浴び続けると水晶体に悪影響がおよび、若くても白内障や老眼になるリスクが高くなるといわれています。また、花粉症の方は、シーズン中の花粉症対策も必要です。
そのため、仕事で屋外に出る機会が多い方には、紫外線対策ができるコンタクトレンズや清潔を維持しやすいコンタクトレンズがおすすめです。
瞳の紫外線対策には、UVカット機能付きコンタクトレンズを活用しましょう。
UVカット機能付きコンタクトレンズは、使い捨てタイプや定期交換タイプ、乱視用や遠近両用、カラコン(カラーコンタクトレンズ)、ハードコンタクトレンズなど選択肢が幅広いため、目の状態や好みに応じたレンズを選べます。
しかしながら、紫外線カット率は商品ごとに異なります。紫外線カット率はメーカーの公式サイトなどに掲載されていますので、希望の商品がある場合はあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
なお、白目の紫外線対策をしたい場合はサングラスとの併用が必要です。日差しが強いときはコンタクトレンズとサングラスを併用して、紫外線から目を守りましょう。
花粉症の季節に外での仕事が避けられない場合は、ワンデータイプのコンタクトレンズがおすすめです。
ワンデータイプなら毎日新しいコンタクトレンズを使用できるため、花粉などの汚れを次の日に持ち越さなくて済みます。
特におすすめなのは、花粉が付きにくい非イオン性のコンタクトレンズやシリコーンハイドロゲル素材のレンズです。シリコーンハイドロゲル素材のレンズは、目が乾燥しにくく涙の分泌を妨げないため、涙で花粉を洗い流す作用も期待できるでしょう。
残業が多い方や、子育てをしながら仕事をしている方などは、コンタクトレンズの装用時間が長くなってしまうことも多いでしょう。このような方には、長時間の装用が可能なハードコンタクトレンズや、瞳の潤いが長続きするタイプのコンタクトレンズをおすすめします。
コンタクトレンズの連続装用が可能な時間は、目の健康状態やレンズの種類で変わってきます。
ハードコンタクトレンズは、ソフトコンタクトレンズに比べて目が乾燥しにくく、酸素透過性の高い素材で作られていることが多いのが特徴です。そのため、目の健康状態が良ければ14時間程度連続装用できるとされています。
ちなみに、従来からある素材で作られているソフトコンタクトレンズの場合、目の健康状態が良くても連続装用可能な時間は12時間程度にとどまります。
もっとも、ハードコンタクトレンズはソフトコンタクトレンズに比べて装用感が良くありません。付け心地が気になって業務に支障が出る場合は、ソフトコンタクトレンズの使用を考えるべきでしょう。
ソフトコンタクトレンズのなかでも、レンズの水分量が少ない低含水レンズは目が乾燥しにくいため、装用時間が長くなっても装用感があまり変化しません。ハードコンタクトレンズよりも付け心地が良いので、「異物感が気になって仕事に集中できない」ということもないでしょう。
ただし、低含水レンズは素材によって酸素透過率がかなり変わります。酸素透過率が低いレンズを長時間装用すると瞳の酸素不足をまねくおそれがあるため、気を付けてください。
ハードコンタクトレンズと低含水レンズの欠点を解決できるのが、シリコーンハイドロゲル素材でできているコンタクトレンズです。
シリコーンハイドロゲル素材で作られたコンタクトレンズは、含水率が低く涙を大量に吸収しないため、長時間使用しても瞳の潤いを保てます。
また、酸素透過率が高く目にかかる負担を抑えられるため、目の健康状態に問題がなければ14時間程度連続装用することも可能です。
装用時間が長くなっても快適に過ごしやすいため、残業が多い方や夜遅くまで忙しい方におすすめです。
介護職・看護職に従事している方、保育園や幼稚園の先生、工場内で作業をする方など、仕事で体を動かすことが多い方には、ズレたり外れたりしにくいソフトコンタクトレンズがおすすめです。
さらに「体が疲れてレンズケアするのもつらい……」という方には、デイリーケア不要のワンデータイプをおすすめします。
ソフトコンタクトレンズはレンズ直径が大きく、目にほど良くフィットするため、ズレたり外れたりすることはあまりありません。装用感が良いため、目の痛みなどで作業を中断するリスクも抑えられます。
ソフトコンタクトレンズには、低含水レンズ、高含水レンズ、シリコーンハイドロゲル素材のレンズなどいろいろな種類があります。どれを選ぶべきか悩んだら、眼科医に相談して目の状態に合うものを処方してもらいましょう。
毎日体を使って疲れている方・忙しくてデイリーケアに時間をかけられない方には、ワンデータイプのコンタクトレンズがおすすめです。
ワンデータイプのコンタクトレンズは1回使い切りなので、使い終わったあとは捨てるだけで済みます。
デイリーケアは不要で、マンスリータイプや長期間使用できるコンベンショナルレンズのようにタンパク除去も必要ありません。
毎日清潔なコンタクトレンズが使えるため、衛生面が気になる方にも向いています。
化粧品やアパレル用品などの販売業、美容業界の仕事に従事している方などにとって、見た目の印象はとても重要です。また、大事なプレゼンテーションをする際には、話す内容はもちろんのこと雰囲気も大切にしたいものです。
このように仕事中のイメージアップを図りたい方には、魅力的な瞳になれるカラコンやサークルレンズをおすすめします。
カラコンの装用が許されている職場でも、悪目立ちするほど派手なカラコンは印象が良くありません。どのような職場でも、比較的抵抗なく受け入れられるのは茶色や黒のカラコンです。
ただし、着色直径が大きすぎると不自然な印象になります。ナチュラルで印象的な瞳を目指すなら、13.2mm~13.5mm程度の着色直径のものがおすすめです。
カラコンの使用をまわりに知られたくない場合は、着色直径が13.1mm以下のものを選ぶとよいでしょう。
瞳の印象を大きく変えたくない方には、カラコンよりもサークルレンズをおすすめします。サークルレンズは、レンズの縁に近い部分のみが着色されているレンズです。
サークルレンズも、カラコン同様に豊富な色・デザインから選べます。
職場での使用におすすめなのは、複数の色を組み合わせているタイプやサークル部分がレース模様になっているタイプです。おしゃれなデザインなので「目立つのでは?」と不安になるかもしれませんが、瞳に違和感なくなじむため、自然な印象になります。
一方、輪郭がはっきりしているものはシンプルで目立ちにくいと思われがちですが、黒目が不自然に強調されることもあるため、要注意です。
社会人のコンタクトレンズは、好みや装用感だけではなく、使用する環境や装用時間、仕事の内容などに合わせて選ぶと失敗が少なくなります。シーンによって選ぶべきコンタクトレンズは変わってくるため、迷ったら眼科医やコンタクトレンズ専門店のスタッフに相談しましょう。
なお、眼科医の診察を受けずにコンタクトレンズを購入するのは厳禁です。コンタクトレンズの使用を始めたい場合・レンズの変更を希望する場合は、眼科を受診して自分の目に合うコンタクトレンズを処方してもらい、レンズによるトラブルを避けましょう。