パソコンやスマートフォン、ゲーム、本など、現代は目を酷使する場面が少なくありません。そのため、視力低下に悩み、何とか視力を回復させたいと考えている方もいるでしょう。
そこでこの記事では、自宅やオフィスでも簡単に取り組める視力回復トレーニングを紹介します。トレーニングで視力回復が期待できる近視のタイプや注意点なども解説するので、トレーニングの際の参考にしてください。
最初に、視力回復トレーニングがどのようなものかを知っておきましょう。
視力回復トレーニングとは、物を見る際に重要な役割を果たす目の筋肉を刺激して視力の回復を促すもので、特に疲れ目にともなう視力低下に効果が期待できます。
トレーニングでおもに刺激するのは、毛様体筋(もうようたいきん)と外眼筋(がいがんきん)です。
毛様体筋は眼球の中にある筋肉で、水晶体の厚みを変えて目のピントを調節します。外眼筋は眼球の外側にあり、眼球を支えたり目を上下・左右に動かしたりする際に使われる筋肉です。
毛様体筋と外眼筋を積極的に動かすと目の緊張が適度にほぐれるため、ピント調節がうまくいくようになり、見えづらさの解消につながることが期待できます。
それでは、自宅やオフィスなどで簡単にできる視力回復トレーニングを見ていきましょう。
今回紹介するトレーニングは、メガネやコンタクトレンズを着けたままチャレンジできるものばかりです。遠近両用メガネを使用している方や近距離用・遠距離用のメガネを併用している方は、遠距離用のレンズでトレーニングしてください。
なお、目の周りの筋肉にこわばりがある場合は、トレーニング前に温めたタオルを目にあてたり目のまわりのツボを押したりして、筋肉をほぐしておくとよいでしょう。
遠近トレーニング法は、「目のストレッチ」とも呼ばれるトレーニングです。目の筋肉を意識して伸び縮みさせることで、視力低下や目の機能の衰えを予防する効果、老眼を予防する効果などが期待できます。
なお、このトレーニングは5分間続けて行なう必要はありません。1回1分を5回繰り返す方法でも構いませんので、スキマ時間を利用して取り組んでください。
眼球運動をコントロールする外眼筋のトレーニングです。
1セット10秒以内でできるトレーニングなので、目の疲れが気になったらチャレンジしてみてください。
こちらも外眼筋を刺激するトレーニングです。目の疲れを和らげる効果が期待できます。
目の動きは遅くても大丈夫です。親指の爪をしっかり見て、外眼筋を意識しながら動かしましょう。
筋肉の緊張をほぐし、目のまわりの血行を良くするトレーニングです。意識的にまばたきをすることで、外眼筋や目もとの表情筋、眼球全体をマッサージする効果も期待できます。
トレーニングの刺激で適度に涙が分泌されるため、目をスッキリさせたいときにもおすすめです。
眼球を動かして、目の動きをなめらかにするトレーニングです。目の運動不足が解消されて動きが良くなるため、物を見やすくなる効果が期待できます。
「眼球をぐるぐる回すと気分が悪くなる」という方は、まぶたを閉じた状態で眼球を動かしても構いません。トレーニング後に疲れを感じる場合は、目をゆっくり休ませてください。
視力回復トレーニングは、スマートフォンのアプリを利用して行なうこともできます。スマートフォンアプリでチャレンジできるおもなトレーニングは、眼球運動と立体視画像の2種類です。
なお、アプリを使って視力回復トレーニングをする場合は、規定の使用時間を超えないように気を付けてください。事前に使用手順をよく読み、目に負担がかかり過ぎないようにしましょう。
眼球運動ができるアプリにはさまざまな種類があり、画面上のターゲットを目で追って動体視力を鍛えるものや、目の焦点を合わせて眼球運動を促進するものなどがあります。
アプリを使って、目を左右だけではなく上下など普段あまり動かさない方向に動かせば、眼球の動きが活性化されるでしょう。
ゲーム感覚で眼球運動ができるアプリもあるため、楽しみながら視力回復トレーニングに取り組むことも可能です。
立体視画像(3D)を活用した視力回復アプリは、模様のようにしか見えない画像を見つめ、ピント調節をしながら平面画像の中にある立体的な画像を見つけていくものです。
これらの視力回復アプリでは、目の焦点をずらすと平面画が立体画に見えるステレオグラムが用いられています。立体画を見つけようとしてステレオグラムを眺めると、目のピントを合わせる際に使う筋肉が鍛えられるため、「アプリの利用で視力が回復した」という声も少なくありません。
視力回復トレーニングはいつでもどこでも気軽に取り組むことができますが、いくつか注意しなければならない点があります。ここでは、特に知っておくべき2つの注意点を紹介します。
トレーニングで視力回復が期待できるのは、「屈折性近視」と呼ばれるタイプの近視です。
屈折性近視では、レンズの役割を果たす水晶体がふくらんだままの状態になり、遠くが見えにくくなります。視力低下は一時的で、目の筋肉の緊張を和らげると症状が改善するため、トレーニングによる視力回復が期待できます。
一方、「軸性近視」と呼ばれるタイプの近視は、トレーニングなどをしても視力回復があまり期待できません。
軸性近視では、眼球が前後に伸びて眼軸長(角膜から網膜までの距離)が正常より長くなり、網膜の手前でピントが合ってしまうために遠くが見えにくくなります。長くなった眼軸長が短くなることはないため、トレーニングの効果はほとんど期待できません。
もっとも、屈折性近視であるか軸性近視であるかの自己判断は難しいものです。自分がどのタイプの近視かわからない場合は、眼科で診断を受けましょう。
視力回復トレーニングは、毛様体筋や外眼筋などを適度に刺激して、目の動きをスムーズにしたりピント調節能力を回復させたりするものです。
しかし、一般的な筋力トレーニングと同様に即効性はなく、トレーニング直後から物がよく見えるようになるわけではありません。したがって、過剰な期待は禁物です。
見えづらさをできるだけ早く解消したい場合は、やはりメガネやコンタクトレンズの使用を考えるべきでしょう。
見えづらさをできるだけ早く解消したい場合や、視力回復トレーニングの効果が期待できない軸性近視が疑われる場合は、視力矯正が必要になります。
特に「メガネをかけたくない」「見た目を変えたくない」という方には、コンタクトレンズがおすすめです。
コンタクトレンズの場合はレンズを直接目に装着するため、見た目を変化させずに視力を矯正できます。そのため、裸眼時と変わらない状態で、メイクをはじめとしたおしゃれを楽しめます。
また、メガネをかけると物が歪んで見えたり、位置がズレて見えたりすることがありますが、コンタクトレンズなら見え方に違和感を覚えることはほとんどありません。メガネのようなフレームがなく視野が広い点も、コンタクトレンズの特長です。
視力の変化があっても、コンタクトレンズなら新たに購入するタイミングでレンズの度数を変えるだけで済むので、大変便利です。
視力回復トレーニングは、目のピント調節を担う毛様体筋や眼球運動をコントロールする外眼筋を意図的に動かし、視力の回復をサポートするものです。特別な道具などは必要なく、自宅やオフィスなどでも気軽にできるため、スキマ時間を利用して取り組めます。
ただし、効果が期待できるのは「屈折性近視」のみです。また、即効性は期待できません。
視力回復トレーニングを行なっても見えづらさが続く場合は、コンタクトレンズなどによる視力矯正も視野に入れて、早めに眼科を受診しましょう。
更新日:2025/12/25