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コンタクトレンズの含水率|高含水・低含水の違いを徹底比較

コンタクトレンズを選ぶ際には、交換頻度やレンズの素材、装用感などさまざまな点をチェックしなければなりません。特に、ソフトコンタクトレンズを購入する際に重要なポイントになるのが「含水率」です。含水率は目の乾きやすさや酸素透過率などと関係が深いため、高含水レンズと低含水レンズの違いを理解すれば、より快適に過ごせるコンタクトレンズを選べるかもしれません。

今回は、高含水レンズと低含水レンズの違いを徹底比較し、それぞれに向いている方の特徴を紹介します。コンタクトレンズを快適に使うコツも解説しますので、目の不快感にお悩みの方は参考にしてください。

■コンタクトレンズの「含水率」とは?

「含水率」とは、ソフトコンタクトレンズ内に含まれる水分の割合のことです。

視力矯正用のクリアコンタクトレンズはもちろんのこと、カラコン(カラーコンタクトレンズ)にも用いられている数値で、数字が大きいほど水分量が多いことを意味します。例えば「含水量50%」のソフトコンタクトレンズの場合、「水分が50%、プラスチックが50%」ということになります。

なお、ハードコンタクトレンズは水分を含まない素材で作られているため、含水率は気にする必要はありません。

ソフトコンタクトレンズは含水率によって2つに分けられ、含水率が50%以上のものは「高含水レンズ」、含水率が50%未満のものは「低含水レンズ」と呼ばれます。
一般的に、従来からあるハイドロゲル素材のレンズは高含水レンズ、新素材であるシリコーンハイドロゲル素材のレンズは低含水レンズになります。ただし、含水率が50%未満のハイドロゲル素材のレンズ、含水量が50%を超えているシリコーンハイドロゲル素材のレンズもあるため、購入時には注意が必要です。

■高含水レンズと低含水レンズの違い

ここでは、コンタクトレンズを選ぶ際に重要な「酸素透過率」「目の乾きやすさ」「装用感」「汚れやすさ」の4つの観点から、高含水レンズと低含水レンズの違いを比較します。

◇酸素透過率

コンタクトレンズの酸素透過率(Dk/L)は、レンズがどれくらい酸素を通すかを表すもので、数値が大きいほど瞳に多くの酸素を届けられます。酸素透過率は、以下の式で算出されます。

「酸素透過係数(レンズ素材が酸素を通す能力:Dk値)÷レンズの厚さ(L)」

ハイドロゲル素材のコンタクトレンズは水分を通じて瞳に酸素を供給するため、レンズの厚さが同じなら高含水レンズのほうが酸素透過率は高くなります。
一方、シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズは、素材自体が酸素をよく通します。したがって、レンズの厚さが同じなら素材そのものの比率が高いレンズ、つまり低含水レンズのほうが酸素透過率が高くなります。

◇目の乾きやすさ

高含水レンズは水分量が多く、乾燥に強いイメージがあるかもしれませんが、目が乾燥しやすいのは高含水レンズです。

ソフトコンタクトレンズは、装用している間にレンズ内の水分が少しずつ蒸発していきます。すると、失われた水分を補うために、レンズが涙など目の中の水分を吸収します。

高含水レンズは蒸発する水分量が多いため、低含水レンズより涙の吸収量が多くなるのを避けられません。結果として、低含水レンズに比べて高含水レンズは目が乾きやすくなります。

◇装用感

ソフトコンタクトレンズは、含水率が高いほど軟らかくなるという特徴があります。したがって、目に入れた瞬間から装用感が良く、なじみやすいのは高含水レンズです。

一方、低含水レンズは水分量が少ないため、軟らかさやうるおい感は高含水レンズに劣ります。そのため、目になじむまでに時間がかかると感じることもあるようです。

ただ、装用感は目の乾きやすさやコンタクトレンズの動きやすさなども影響します。最近は、装用中に水分が蒸発しにくい加工がされている商品も多数販売されているため、含水率だけで装用感を判断するのは難しいかもしれません。

◇汚れやすさ

汚れやすさは、コンタクトレンズがイオン性かどうかで変わってきます。

イオン性のレンズはマイナスの電気を帯びているため、プラスの電気を帯びている花粉やたんぱく質などの汚れが付きやすくなります。非イオン性のレンズはマイナスの電気を帯びていないため、イオン性のレンズに比べて汚れを気にする必要はありません。

高含水レンズはイオン性レンズに分類されるものが多く、低含水レンズは非イオン性レンズに分類されるものが多いため、一般に低含水レンズのほうが汚れに強いとされています。
しかしながら、非イオン性の高含水レンズや汚れが付きにくい表面加工がされているコンタクトレンズもあります。

そのため、汚れやすさが気になる場合は、含水率よりもレンズ自体の特性を添付文書などで確認するほうがよいでしょう。

なお、コンタクトレンズは、含水率とイオン特性の違いで4種類に分類されています。低含水×非イオン性のレンズはグループI、高含水×非イオン性のレンズはグループII、低含水×イオン性のレンズはグループIII、高含水×イオン性のレンズはグループIVです。

汚れが気になる場合は、グループIまたはIIのレンズを選ぶようにしましょう。

■高含水レンズと低含水レンズ、どちらがいいの?

それでは、高含水レンズと低含水レンズのどちらを選ぶべきなのでしょうか。それぞれのレンズの特徴と併せて、「向いている人」を紹介します。

◇高含水レンズが向いているのはこんなタイプ

レンズが軟らかく、うるおい感のある高含水レンズは、「つけた瞬間の装用感や目に対するなじみの良さを重視する方」に向いています。装用時の違和感が少ないため、「コンタクトレンズを初めて使う方」にもおすすめです。

一方、高含水レンズは長時間装用すると目が乾きやすくなるのがデメリットですが、「涙の量が多い方」や「装用時間が短い方」なら、デメリットをそれほど感じることはないでしょう。

◇低含水レンズが向いているのはこんなタイプ

低含水レンズは高含水レンズほど涙を吸収しないため、「涙の量が少ない方」や「目の乾燥が気になる方」でも比較的ストレスを感じません。
また、目が乾燥しにくく、長時間装用してもつけ心地があまり変わらないため、「装用時間が長い方」にもおすすめです。

◇迷ったらシリコーンハイドロゲル素材のレンズがおすすめ!

高含水レンズにすべきか低含水レンズにすべきか迷ったら、シリコーンハイドロゲル素材のレンズを選びましょう。

従来からあるハイドロゲル素材のレンズは、含水率が低くなると酸素透過率も低くなる傾向があるため、瞳が酸素不足になるリスクがありました。
しかし、シリコーンハイドロゲル素材のレンズなら素材そのものが酸素をよく通します。そのため、低含水レンズのメリットである「目の乾きにくさ」と高い酸素透過率を同時に得ることが可能です。

■含水率だけではない!コンタクトレンズを快適に使うコツ

コンタクトレンズを快適に使うためには、含水率以外にも大切なことがいくつかあります。ここからは、特に重要な5つのポイントを見ていきましょう。

◇眼科でコンタクトレンズを処方してもらう

目に合うコンタクトレンズを選ぶためには、BC(ベースカーブ:レンズの曲がり具合を数値で表したもの)や視力などの正確なレンズデータが必要です。

眼科でコンタクトレンズの処方を希望すれば、購入に必要なデータを測定してもらえるだけでなく、装用感のチェックや微妙な度数調整もしてもらえます。また、医師に目の健康状態も診察してもらえるため、眼障害予防のためにも眼科でコンタクトレンズを処方してもらうことは大切です。

◇レンズや目の乾燥を防ぐ

どのタイプのコンタクトレンズを使っていても、レンズや目の乾燥を防ぐことは大切です。

装用中にレンズや目の乾燥が進むと、違和感や目の充血などをまねきやすくなります。そのため、コンタクトレンズ装用中は、意識してまばたきの回数を増やしたり目薬をさしたりするなどして、目を潤すようにしてください。乾燥を防ぐと、コンタクトレンズ装用中も快適に過ごしやすくなります。

なお、目薬は使っているコンタクトレンズに対応しているものを選んでください。裸眼用の目薬やレンズに合わない目薬を使うと、目にトラブルが生じることがあります。

◇装用時間を守る

装用時間を守ることも、コンタクトレンズを快適に使うコツの一つです。

装用時間が長すぎると、目の乾燥や酸素不足で眼障害を起こするリスクが高まります。目の健康状態が良くても、連続装用できる時間はハイドロゲル素材のレンズで12時間程度、シリコーンハイドロゲル素材のレンズで14時間程度までです。カラコンの連続装用可能な時間は製品により異なりますが、通常はクリアレンズより短くなります。

ただし、上記の装用時間はあくまで目安です。医師から装用時間について指示がある場合は、必ずその指示に従ってください。

◇レンズケアを怠らない

長期間使用できるコンベンショナルレンズや、2ウィーク・マンスリーなどの定期交換タイプのコンタクトレンズを使っている場合は、毎日のレンズケアも大変重要です。

コンタクトレンズに汚れが残っていると、眼障害をまねくリスクが高くなります。デイリーケアの際はこすり洗いを併用して、汚れをしっかり落とすようにしましょう。こすり洗いをしても落ちない汚れがある場合は、使用期間が残っていても新しいコンタクトレンズに交換してください。

デイリーケアが十分にできない場合は、レンズケアの手間がないワンデータイプのコンタクトレンズがおすすめです。

◇眼科を定期受診する

コンタクトレンズによる眼障害を防ぐために、3ヵ月に1回は眼科を受診して目の健康状態を医師に診察してもらいましょう。

コンタクトレンズによる重篤な眼障害は、受診間隔が3ヵ月を超えている人に多いことが明らかになっています。目の健康を守り、コンタクトレンズを長く使い続けるためにも、眼科の定期受診を欠かさないようにしましょう。

■まとめ

コンタクトレンズの含水率は、装用時の目の乾きやつけ心地にも影響する大切な要素です。高含水レンズと低含水レンズの特徴や違いを知っておけば、装用時の悩みを解決できるコンタクトレンズを選びやすくなるでしょう。

もっとも、コンタクトレンズを快適に使うためには、含水率以外にも大切なポイントがたくさんあります。目の乾きなどが気になる場合は眼科を受診して、目の健康状態に応じたコンタクトレンズを処方してもらいましょう。